R25の『オタクだと勘付かれる言動』ランキング7位に『雰囲気で』というのがあって、妙に納得してしまいました。
あれは服装とかそういうことじゃないんだよね。
どうすればいいんだろうね。
佐藤多佳子『サマータイム』読了。
名古屋にある本カフェでぱっと目に入って読んでみたら、これがすっごく良い小説だった!
買ってないから手元にないので、忘れないうちに書きます。
連作、ではないけど短編集。
もともとは「四季のピアニスト」という上下巻だったらしい。
4編の短編にはどれもピアノとピアノ曲が織り交ぜられている。
『サマータイム』以外の3編は『サマータイム』の裏話みたいなお話。
表題作『サマータイム』は進と加奈の姉弟と、彼らがであった少年・広一のお話で、進の視点から語られる。
11歳の進と12歳の加奈と13歳の広一、それから広一の母親と、“サマータイム”。
summer timeはジャズのスタンダードナンバーで、広一の母親でピアニスト・友子の十八番。
事故で左腕をなくした広一が弾く片手だけのサマータイムが、進のその後にひっそりと影響をし続けていく。
『5月のみちしるべ』は小学校に入ったばかりの加奈の物語。
ピアノを買ってもらって、でもピアノが怖くて嫌いだったという加奈。
勝気でわがままに振舞う加奈の、片鱗のような未熟で、けれど清清しい。
『サマータイム』で描かれる、ピアノに惹かれていく進と対をなすバックグラウンドストーリー。
『9月の雨』にはそのタイトルどおり“セプテンバー・イン・ザ・レイン”が流れている。
主人公は高校生になった広一。母・友子とその恋人・種田とのお話。
『サマータイム』で描かれた広一の“大人びて魅力ある少年”とは違う、彼なりの不安や葛藤や日常があって、『サマータイム』で描かれなかった“進の知らない6年間”の一片を見ることが出来る。
タイトルだけでブルー・ムーンや茶色の小瓶もちょろっと。
最後の『ホワイト・ピアノ』では“マイ・フェイバリット・シングス”。
中学生の加奈と調律師・千田と、それからクリーム色のピアノの物語。
少女性にあふれていて、わがままでともすれば結構嫌な子になってしまう加奈の、広一とのわだかまりを主観的に魅力的に魅せていて、とても静謐で瑞々しいお話。
解説で森絵都さんも書かれていたけれど、これは読んだときに「薦めなくちゃ!!」と思わせてくれる素晴らしい物語でした。
あと、個人的にではあるのだけど、サマータイムとか茶色の小瓶とか、学生時代にやった曲目がちらほらと出てきてちょっと懐かしかった…
ピアノといえばtake the A trainだろうとか、fascinating rhythemを!orange sharbetを!と思わないでもないけれどまぁそのへんはいいんだ。
蛇足。
全然無関係なんだけど、帰りに寄った本屋で『100均のフリーダム』(タイトルうろ覚え)という本を立ち読みして、本屋なのに笑ってしまいました。
物語ではなくて、ビレバンとかにありそうなネタ本なんですが、おもしろいので見かけたら是非。
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