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アニメと本と音楽とチョコレートとお酒の日記
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2024/05/20 (Mon)
大崎善生『パイロットフィッシュ』読了。
久しぶりに本の感想いきまーす。

大崎さんの本は、タイトルだけはいくつか知ってて、でも今まで読んでないっていうパターンだったんだけど、ちょっと前に『九月の四分の一』を読んで、一気に好きな作家さんの一人になりました。
『九月の~』を読んだときに、「なんかこの人の描く感じは誰かに似ている」と思ったんだけど(文体とかじゃなくて雰囲気というか匂いみたいのが)、解説で石田衣良さんが“こういうふうにかくのは大崎さんか本多孝好さんぐらいしか知らない”というようなことを仰っていたのを読んで納得。
そうだそうだ、本多さんの感じと似てるんだ。
で、昨日、古本屋で『パイロットフィッシュ』と『アジアンタムブルー』を購入したのです。

主人公の山崎はアダルト雑誌の編集部に勤める編集者。
学生時代の友人や、恋人や、仕事で出会った女の子や、編集長や同僚etc,etc.
とにかく登場人物が多い。
彼の所属しているグループの人数が多いのではなくて、彼が関係する色んなつながりがそれぞれ丁寧に描かれていて、連作短編みたいな錯覚に陥ります。

特別大きな事件や盛り上がりがあるわけではなくて、小さな、割と日常的といえることがいくつか起きる。
だから、何か大きなことが解決して、大団円、という終わり方じゃない。
少しずつ起きた小さなことが、解決したりしなかったり、あやふやだったり、そもそも『解決』という終わり方が存在しない出来事だったり。
始まりと終わりがある物語というよりは、ずっと長く続いている物語の一部を切り取って掬い上げている、という感覚に似ている。

村上春樹さんのような感じとも違って、割と読みやすいです。
あーでも、どうだろう…
今だから読んで「いいなぁ」と思えるのかもしれない。
たぶん、高校生ぐらいの頃の自分だったらツマラナイと思ってしまうかも。


最近、自分は『主人公しか存在しない話』があまり好きではないということに気付きました。
だから群像劇好きなんかなー
以前、ここ数年の少女漫画だったか社会学だったかについての記事で“最近の漫画には、主人公の両親や相手の家族や、ストーリーに直接関わる以外の友達などの存在が感じられないものが多い”というのを見たことがあって、その正誤はともかくとして、『この話はなんとなく好きになれない』と思うものってだいたいそうだったなーなんて思い返してみたりしたのです。これは蛇足。

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2010/05/30 (Sun) Trackback() Comment(0)
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